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今日の診察室

麻酔処置は危険?安全? (`ヘ´)

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近頃,麻酔についてご紹介を頂く患者さんが増えています。
どうも「この子には麻酔は危険だ」と言う獣医さんとかネット情報で怖い話を知ったとか・・・。
みなさんそれぞれなのですが,恐怖を感じられているのは確かです。
写真 1
ではベルヴェットではどうなっているかというと,
まず麻酔はその深さなどにより5段階に分類しています。
骨折などになるとレベル4ですが,歯石除去や去勢手術などはもっとも軽いレベル1です。
もちろん動物側の健康状態も分類評価していて,やはり5段階に分かれています。

通常麻酔は,導入麻酔と維持麻酔の2ステップに分かれていて,
まず導入麻酔で軽く眠ってもらい,その後,気管挿管しガス麻酔などで維持します。
この導入麻酔は注射により2〜5分間だけの超短時間麻酔。
この導入麻酔は犬種や体格などの個体状況や各レベルにより変化し様々なものを使います。
犬種によっては使ってはいけない麻酔薬ものもあるので注意です。
この超短時間麻酔中に人間みたいに気管チューブ挿管などを行いガスの維持麻酔に移行します。
ガスの維持麻酔は,私の場合は『低流量麻酔』という方法を選択しています。
これは麻酔薬の量を最小量で維持管理し,自発呼吸(動物自身が行う呼吸)を抑制しない麻酔方法です。

ちょっと難しいお話ですが,麻酔時には呼吸を強制的に管理する方法と,
自発呼吸を用いて管理する方法の2種類に分かれます。
一般的に行われているのが強制的に麻酔時に呼吸をベンチレーターという機械を用いて
強制的にコントロールする人工呼吸法。
こちらは呼吸を抑制するくらいしっかり麻酔をかけますので,麻酔の深度が深めになります。
一方,低流量麻酔は自発呼吸を抑制しないようにぎりぎりのラインで麻酔を維持します。
もちろん管理的には細かくなりますが,生体への侵襲は圧倒的に低流量麻酔法のほうが低くなり,
リスクのある動物でも確実に安全性が高くなります。ただし低流量麻酔は麻酔回路を特殊なものを使ったり,
管理がシビアになるためか,現場であまり使っている話を聞きません。
P1000638.jpg
私は大学病院時代に年間約500件程度のペースで麻酔を実施していました。
さすがに大学病院時代は,かなり状態の悪い動物が多く厳しい状況も多々ありましたが,
ありがたいことに,自身の麻酔処置中におけるトラブルはゼロ件でした。
ただし,私の部署での処置が終わってそのまま次の部署に移動し,
その移動先の部署でトラブルが発生した動物は1件いました。確かイングリッシュ・ブルドッグでした。
これは犬種の問題として発生したと考えられました
(E・ブルは,ある種喉頭部の奇形なので迷走神経異常が出やすいとされています)。

もちろんベルヴェットでも麻酔処置によるトラブルは「0件」です。
ただし臓器破裂で飼い主さんと協議の結果,手術に望んで間に合わなかった様なケースなど
リスク覚悟でのぞんで残念な結果に終わってしまったケースは過去18年間で3件でした。
ベルヴェットでの麻酔処置件数は毎年約200件前後です。

また,麻酔処置は神経を眠らせてしまうわけですから,自律神経関連に注意も必要です。
ですから処置を行う前に,動物達にかかるストレス除去は最重要なのは言うまでもありません。
と言うわけで,麻酔に関しては事前の見立て(評価)と実際の麻酔技術の両輪が必要ですが,
それらさえしっかりしていれば,事前の説明で飼い主さん達を安心させてあげることができます。

さてさて,先日,ご紹介で新規の患者さんがいらっしゃいました。
この患者さんはヨーキー(ヨークシャテリア)ちゃんで非常に重度の歯周病。
歯周病がひどく,麻酔をかけて処置しなけらばならないのは分かっているのだけれど
過去の経験から麻酔が怖くてその気になれなず,さらにかかりつけの先生からは,
麻酔についてのリスクを沢山言われてさらにさらに怖くなってしまったそうです。

その過去のお話を詳しく伺ってみると,
先代の犬の時,歯石除去で預けた犬が麻酔処置中に死亡してしまったとのこと
無くなったワンコちゃんはまだ2歳・・・
獣医学ですから100%は無いにしても,そんなことは通常はあり得ません。
P1000682.jpg
さて,ベルヴェットでは十分な事前説明をさせていただき,ママには快諾を得たため
このヨーキーちゃん数日後にベルヴェットで全身麻酔で歯科処置となりました。
歯科処置での麻酔レベルはもっとも浅いレベル1
ヨーキーちゃんは麻酔処置時間が約20分,麻酔覚醒(目覚めるまで)の時間が約3分,
さらに起立できるまでの時間が約5分,動き回るまでの時間がさらに7分くらいでした。
覚醒後30分ぐらいになると,すっかり歩き回って吠えていました。
さてここでママにご連絡「無事終わりました。もう歩き回っています・・・」とお伝えすると
ママは相当ビックリされていました(笑)。
もちろん夕方のお迎えの時には,まったくいつも通り,元気いっぱいで帰られていきました。
程度こそあれ,ベルヴェットでの麻酔処置とは本来こんな感じで〜す。
(すー。(`ヘ´)
ご興味のあった記事があれば拍手をお願いしまーす。
今後の参考にさせていただきまーす。



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