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イヌとの生活

「仔犬の甘噛み」について(2)

 ←2015FCI世界大会 in イタリア 観戦終了 →JKC東京都下クラブ・アジリティー競技会 千葉白子
前回からの続きです。
拍手数からすると、なかなか皆さんのご興味がある項目のようです。
ちなみにこのブログに記載するのはベルヴェット的(鈴木メソッド)
・仔犬のコミュニケーション方法ですのでご了承の上お読みください。
日本の飼い主さんと仔犬ちゃん達、そしてこれからお勉強する
獣医・トレーナーの卵さん達などの参考になれば幸いです。
さて、本日の講義はマズル・コントロールと『ノー』の解説です。
IMG_2144.jpg

2)マズルを強く握り『ノー』と強く言う

マズルを強く握るというのは『マズル・コントロール』を真似ているのだと思いますが、
やり方がちょっと違っています・・・と言うか、
親犬のように正しくやっている方を見たことがありません。
たぶん親犬にマズルをくわえられて仔犬が「キャンッ」と鳴くシーンを見て
人間的発想で仔犬を痛くして鳴くまで力を入れる罰なんだと勘違いされているのかもしれません。

さらにそこで、仔犬をにらみつけて『ノー』などとどう喝するなどもってのほかです。
可愛い子犬ちゃんになんて事するんでしょう?
『あなたが「ノー」です!』って感じです(笑)。
ここでの『ノー』も前回(1)の『ノー』と同じく、
仔犬は人間の言葉なんか知りません。
どう喝し、おびえさせても、お互い将来のためにはなりません。
子犬1 シロ公さま3週齢
人間の言葉も分からずコミュニケーションがとれず不安な時期、
愛情をたくさん与えて信頼関係を構築する必要があるとても大切な時期に、
『どう喝』などの恐怖を与えてしまうと、
その相手を仔犬たちは心の底では信用しなくなります。
もちろん怯えさせることはできますから、
とりあえず何となく言うことは聞くようになります。
でも恐怖統治は形式的な服従関係を作るだけで「信頼」には至りません。
いざという時には言うことは聞かないでしょう。
これは人も犬も同じではないでしょうか?
どちらかというと言葉が伝わりにくい犬たちの方が
受ける心の傷の方が深く深刻かもしれませんね。

ちなみに行動否定や中断を意味する『ノー』や『イケナイ』という単語、
トレーニングではネガティブ・コマンドと言いますが
これもコマンド(私はキューという言い方のほうが好きですが・・・)ですから、
シット(スワレ)、ダウン(フセ)、ステイ(マテ)などと同じです。
手順を追って人間から発せられるコマンド(人間語)として
しっかり学習させた後に使用しなければなりません。
もちろんその前に十分な信頼を軸とした、お互いの関係が成り立っていなければ
使用することができないと思いますが。

さて、マズル・コントロールは親犬のように正しく行えば効果的なのですが、
先にこの間違った方法「マズルを強く握る」を行うことのデメリットを説明します。
犬たちは口でものをくわえますね、彼らの口は我々人の手に相当します。
そうすると、人間から手で力を入れてマズルや頚部などの身体を握られる経験をすると、
仔犬たちは口で他の動物(人間や犬)に対して、自らの口で強く噛むんだな・・・と学習します。
そうですね「仲間も含め他人(犬や人)には口を使って力を入れて噛みついても良い」と
飼い主(親)から教育を受けている状態となります。
ちなみにマズルに限らず首根っこを握っても同じです。

アジリティー競技の際に犬にチョークやショックを入れたり体罰を与えたり、
大声で怒鳴る、スタート前に首の皮を持ってつかまえる、などすると
犬への虐待行為として失格退場となります。
これも考え方としては同じ方向性から来ているでしょう。
そんなことをしなくても、しっかりコミュニケーションをとれば
その様な行為は必要ないということですね。
以前患者さんがその方のトレーナーさんに、
このアジリティー競技の際の失格事項をお話ししたら
「でも、実際はそんなこと無い、現場ではショックいれたりします」
なんて事を言ったとか・・・。
そうですね、技術的に未熟だったり
認識レベルの低い方はやってしまうかもしれません。
とても残念なことです。

私たち獣医は犬たちが嫌がる処置をすることもあります。
当然、ひどい時には噛まれることもあるわけですが、
この時、否定を意味する「歯を当てる」などの際に
強い握りを教えられている犬はその牙で我々の皮膚を貫通させますが(あ〜痛っ)
その様なことを教えられていない犬は牙を当てるだけだったり
まったく相手に傷がつかないように「寸止め」で裂傷やキズにはなりません。
とても素晴らしい「寸止め」のエアデールが昔いました(笑)。
そのお話も面白いのですがまたの機会に・・・。

余談ですが、犬の歯は人間の指先ほどの感覚があります。
歯のエナメル質も人間の60%程度の厚さしかありませんから感触などがよく伝わります。
犬は自分の歯が今現在「何に触れているか?」などとてもよく感じとっています。

では、実際のマズル・コントロールですが、
犬の親は躾の際にテクニックの一つとして「マズル・コントロール※」という方法を用います。

 ※マズル・コントロールとは
  親犬が仔犬の現在とっている行動に対し中断・否定など罰として示す方法。
  親犬が仔犬のマズルをくわえる形を示し仔犬の行動を制限・評価します、
  仔犬がそれを受け入れた場合フリーズ(静止)や鳴くことにより解除を求めます。

マズル・コントロールもスペース・コントロール(行動制限)の一種で
なおかつ行動の中断や否定などの罰を提示するものだと考えます。
当院の患者さんはスペース・コントロールの意味と使い方は分かりますね(笑)。

さて、ここからが重要なポイントです!
親犬は「仔犬のマズルを口でくわえます」が実際は歯を当てていません。
親犬は自分の口を使って、仔犬が動けないよう制限する枠を作ります。
仔犬は無理に動けば親犬の歯に自分のマズルがあたるため、
そのままフリーズ(固まる、静止)します。
また、仔犬のキャラクター的に表現を大きく示す仔犬などの場合には
フリーズだけでなくキャンと鳴くことにより親犬に了解したことを伝えます。
俗に言う『オーバー・アクション』な仔犬と言うことになります。
この『オーバー・アクション』な犬について解釈が複数あるのですが
長くなるのでまた機会があれば書きますね。

そして、親犬と子犬はこれらのやりとりを素早く繊細で柔らかく永遠と繰り返します。
ここで重要なのは『刺激は小さく』そして仔犬が理解するまで『永遠と繰り返す』と言うことです。
親犬たちはとても辛抱強く愛情を持って対応していきます。
といってもお互いのコミュニケーションが成立していれば、ほんの数回で理解します。
親犬を真似て行うのであれば、その辛抱強さも含めて真似なければ意味がありません。
これらの手順により、仔犬たちは制限や否定という意味を学習していきます。

これは過去調べたなかでは、どこにも記載がなく
私が考え出した方法で、鈴木メソッドでの一例です。
人間が親犬を真似て仔犬に対しマズル・コントロールをする場合、
手で犬の口を真似た形を作り、非常にソフトに仔犬のマズルを上方から覆うのが正解。
親指と人差し指の位置は、犬の後臼歯の位置になるようにします。
やはりその手はマズルに触るか触らないか位のおおい方です。
それからマズル・コントロールの際に、
その手の中から逃げる仔犬はそのまま逃がしてあげます。
残念ながらこのような方法でマズル・コントロールをされている方は
見たことがありませんが、実際はこのような方法で目的効果は十二分です。

それから人が指導するのですから、
将来マズル・コントロールを使わなくて良いように
このマズル・コントロールにポジティブ・コントロール(陽性強化法)を
併用して学習を進めたりしておくのが得策でしょう。

今日このブログにアップしたマズル・コントロールの解釈と方法については、
「聞いたことな〜い」という方ばかりでしょう。
それもそのはず、これは、どの本にも書いていないオリジナルです。
もし実施する場合には、だまされてと思ってやってみてください。
犬に対する感度の良い方は、犬たちの変化にすぐ気づかれるはずです。
この方法が、少しでも、皆さんのお役に立てれば幸いです。
日本中の仔犬たちの幸せを願って!!
とりあえず本日の講義はこれまで!(^_-)-☆

(すー。(^_-)-☆
ご興味のあった記事があれば拍手をお願いしまーす。
今後の参考にさせていただきまーす。
病院のNEWホームページもヨロシク〜(*^^)/


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